牛肉とまいたけのXO醤炒め

江上種英さん(江上料理学院主幹。昭和60経)

XO CHILI SAUCE(XO醤)
 かつての香港・九龍の悪名高い名物に「東洋のカスバ」と呼ばれた九龍城と「ビルすれすれに飛行機が飛ぶ」啓徳空港があった。九龍城は1992年に取り壊され、公園として整備され、周りには香港人に人気のカジュアルなレストランvol_が並んでいる。啓徳空港も1998年7月新しい香港国際空港にその役割を譲った。
東京からの飛行機は、多くの島影が美しいランタオ島の沖合の新空港にすべるように着陸した。入国審査を終え税関を通過すると、すぐ目前には市内へのエアポートエキスプレスがドアを開けて待っている。香港らしくないスマートさに驚きつつ、快適な座席から車窓を眺めていると、じきに見慣れた原色の街が目に飛び込んでくる。
空港の移転は町並みにも変化をもたらした。九龍の中心部のビルの高さ規制が緩和され、高層の建物の建築が可能になったのだ。ペニンシュラホテルのタワーもそのひとつで、華麗な歴史と多くの有名ブランドに彩られたこのホテルに「フェリックス」というモダンな展望レストランを加えることとなった。
このホテルのもう一つの名物に、地下の売店で売られる「XO醤」がある。この調味料は80年代に香港で発案され「中国料理界最大の発明」とも言われている万能調味料だ。
最高級のブランデーのXOから取られた名前の通り、吟味された干し貝柱、海老、唐辛子などから作られる具沢山のオイルは、店やシェフによって味が違い、それぞれの配合は秘伝とされている。
移り変わりの激しい香港で、XO醤は20世紀後半に生まれた名物として生き残っていくに違いない。
HOW TO COOKING
牛肉とまいたけのXO醤炒め
1.牛肉の薄切りに葱の葉を加え、酒と醤油で味付け、しばらくおいたあと中華鍋でいためる。
2.ブロッコリーは食べやすい大きさに切り、塩を入れた熱湯で固めにゆでる。
3.まいたけも食べやすい大きさに切り、塩を入れた熱湯で1~2分ゆでる。
4.1をいったん取り出し、鍋ににんにくの薄切りを入れて、香りが出たら、まいたけを入れ炒める。
5.4をXO醤、スープ、酒、醤油、砂糖等で味付けして1分位煮てブロッコリーと牛肉をいれ、味をみて片栗粉でとろみをつける。