バゲットのランチ

江上種英さん(江上料理学院主幹。昭和60経)

BAGUETTE(バゲット)

伝統的なフランスパンは、小麦粉と塩とイーストだけでつくるが、その中でも棒状のものをバゲットという。硬い香ばしいパリパリした皮は、パン生地に蒸気を吹きつけながら、型に入れずにじか焼きしてつくる。フランスには、パンに関する法律があって、75cm、350g以上ないとバケットとは呼べない。だから本来、日本の「プチバゲット」なるものは存在しない。
フランスの人々は毎朝焼き立てのバゲットを買い求めていた。いくつかに切り、切り込みを入れて、ハムやチーズをはさんでランチにする。家族で食べるので、朝買ったものはその日の内に皆の胃袋におさまった。しかし核家族化の進行が進み、一週間分のパンをスーパーで買って、冷凍しておく家族がどんどん増えていく。
一方スーパーの方でも、冷凍パン生地を使った大量生産で需要に応えた。それに危機感を抱いたパン屋の店主たちが運動を起こし、1997年から「本物のパン」の定義が決められ、「ブランジュリー」(パン屋)の看板を掲げるためには、店でパン生地をこねて、焼き上げなければならないと規定された。
日本の都会では、おいしいパンを売る「ベーカリー」が、いたるところに店をかまえている。独特の「プチバゲット」も、新鮮なものを好む日本人の「賢い知恵」なのかもしれない。
HOW TO COOKING
バゲットのランチ
1.ゆでたまごをつくり、スライスしておく。
2.ハムは薄く切りわけておく。
3.バゲットに縦に切り込みを入れ、バターとマスタード(できればディジョン産)を塗って1、2の具をはさみこむ。
4.サラダは葉を洗い、水気をきっておく。
5.チーズドレッシングをつくり、いただく直前にサラダにかける。