鮎めし

江上種英さん(江上料理学院主幹。昭和60経)

Ayu Fish(鮎)
 鮎は一科一属一種で「年魚」と呼ぶ場合もある。これは、春生じ、夏長じ、秋衰え、冬死すことから名付けられた。秋に産卵し、10~24日で幼魚となり、海に入って冬を越し、翌春、川を上って成長する。初めは肉食だが、6月には、清流の石につく水ごけだけを食べ、その川の独特の香気が身につき、そして各地で鮎漁が始まる。
姿の美しい鮎だが縄張り意識は強烈で、そこに外部から侵入するものがあると、猛然と追いかけて追い出そうとする。この闘争本能を利用するのが共釣りだ。囮の生きた鮎に掛け鈎をつけ、野鮎の縄張りに近づけ、突っかかってきて鈎に掛かった鮎を、泳がせながら釣るのである。
海鵜を飼い慣らして鮎をとる鵜飼も、長い伝統を誇っている。岐阜の長良川では、夏の夜にかがり火を燃やした鵜船が川を下り、たくみな手さばきの鵜匠に操られた鵜が、次々と水に潜り鮎をとらえる。昔をしのばせる古風な鵜匠の装束は、かつて宮中の行事だったころの名残で、日本書紀にも記されている。
パチパチと弾けるかがり火。川を照らす炎、華やかな遊覧船、やがて豪華な総がらみへと興趣は盛り上がってゆく。1300年の時間を越えて今に伝わる鵜飼。いつの時代でも鮎は、季節を彩る風物詩の主役だ。
HOW TO COOKING
鮎めし
1.鮎は塩をふって、皮目がパリッとなるように焼いて風干しする。
2.釜に洗った米を入れ、水、酒、薄口しょうゆを加え、千切りにした生姜も入れて炊く。
3.煮立ってきたら一度火を消し、1の鮎を米の上にのせ炊きあげる。
4.ご飯に千切りにした花茗荷をまぜ、千切りにした青じそをたっぷりのせていただく。