グアカモーレ

江上種英さん(江上料理学院主幹。昭和60経)

AVOCADO(アボカド)
 ロスアンゼルスからカンクンに向かう飛行機は、ヴァカンス気分の人々であふれていた。機体が高度を下げるのにしたがい、つき抜けた青空ときらきら光る海が窓一面に広がる。海上に細長く連なる砂浜には豪華なホテルが立ち並んでいる。
ユカタン半島の先端に位置するこのリゾートは、神が人類のために与えた究極のリゾートと言われ、高い晴天率を誇っている。しかしこの地は、70年代にメキシコが外貨獲得のために綿密にリサーチして選んだのだ。
カンクンから西に2時間半、マヤ文明の巨大な古代都市チチェン・イツアが忽然と現れる。世界遺産に認定されていて、多くの科学者がこの遺跡のなぞを解こうとしたが、ほとんどベールにつつまれたままだ。熱帯の密林に守られていたからこそ、1600年の時を超え、現代まで残りえたのだろう。メキシコは密林か砂漠のきびしい自然の国なのだ。
カンクンのリゾートのプールサイドで、テキーラサンライズをオーダーした。サイドディッシュはアボカドとトマトのサラダ。アボカドもトマトも南米が原産で、厳しい自然の中で育ったものが一番おいしいという。ピリリとしたサルサを加えて、タコスとともに食べれば、濃厚な果実の風味が広がる。
潮風に吹かれて波の音を聞いていると、いつのまにか眠ってしまった。気がつくと空になったグラスの向こうに、カクテルと同じ色の夕日がひろがっていた。
HOW TO COOKING
グアカモーレ
1.アボカドは種と皮をとり、すぐにライム(またはレモン)をかける。
2.トマトは湯むきにして種と皮をとる。
3.玉葱、にんにくは細かいみじん切りにする。
4.アボカドとトマトを1cmの角切りにし、3を加えつぶすようによく混ぜる。
5.サラダ油少々と塩・砂糖で味を調え、よく冷やす。
6.好みでサルサソースを加える。