サーモンのクリームソース

江上種英さん(江上料理学院主幹。昭和60経)

SALMON(サーモン)
 1998年2月、まだ真新しい長野駅を降りると、多くの人がさざめくコンコースは明るく、なにかを期待するエネルギーに満ちていた。オリンピックの開幕を3日後に控え、人々の顔にも笑顔がこぼれる。「ようこそ、長野へ」の声とともに、私たち一行の手に渡されたのは、思いがけず、地元婦人会の方が一つずつ手作りした、ちいさな貝の雛人形だった。心温まる思いにゆるんだ頬が、澄んだ空気の冷たさで引き締まる。私たちはこれから、オリンピックを記念して、白馬のジャンプ台のふもとに建設された、ノルウェービレッジの開村式のイベントにむかうのだ。
ノルウェービレッジは、木材を使ったログハウスのような4棟の建物で、白馬を訪れる人々のために、ノルウェーの情報や民芸品、レストランなどが設置されている。そのレストランでノルウェーの食材を利用したメニューが提供されることとなり、レシピコンテストが行われた。今回は結果発表と授賞式を行うのである。
ノルウェーのサーモンは水のきれいな入江で育てられるため、寄生虫がいない。よく脂が乗っていて、お刺身でも食べることができる。
その夜、くっきりとライトアップされたジャンプ台を望むビレッジに、松明がともされるころ、サーモンを使った料理が次々と運ばれてきた。寿司や照り焼きなど和風のメニューもワインによく合い、雪焼けした頬があったかくなってくる。ノルウェーの人々の頬もゆるんでいる。出会った人々と写真をとるために外に出てみると、雪が幻想的に舞っていた。
翌日、ホテルの窓からは、透き通るような青い空と白い雪のパノラマが広がっていた。部屋を出るとき、貝の雛人形は、大切にカバンにしまいこんだ。温かい長野の人々、豪快なノルウェーの人々、そしてオリンピックの思い出として。
HOW TO COOKING
サーモンのクリームソース
1.サーモンの切り身は皮をはぎ、塩、こしょうをしておく。
2.フライパンでバターを溶かし、こんがりと焼いたら、ワインをふりかけ蒸し煮にする。
3.小鍋で小麦粉をバターで焦がさないように火を通し、牛乳でのばしてから塩、こしょうで味付けする。
4.3の濃度が出たら生クリームを加えてソースを作る。
5.器にサーモンを盛り、ソースをかける。