マッシュルームのセゴビア風

江上種英さん(江上料理学院主幹。昭和60経)

MUSHROOM(マッシュルーム)
 どんな素材や、調理方法と組み合わせても、おいしく食べられる「マッシュルーム」。その愛らしい形も、すっかり一般的になっているが、明治初年に日本に導入された後は、長い間ほとんど普及しなかった。戦後、清潔な栽培方法が開発され、食生活の洋風化と共に、生活の中に定着していった。
香りが強くアメリカやカナダから輸入されるブラウン種と、茨城県や千葉県で栽培されるホワイト種が出回っている。また、高級食材店では「シャンピニオン・ド・パリ」と称して、ホワイト種をフランスから空輸している。
 ラテン系の人々もマッシュルームが大好きだ。スペインにはどんなに小さい村でも「バル」がある。「バル」とはバーとカフェと惣菜屋を足したようなもので、簡単な椅子もあるが、多くは立ったまま飲み食いする。ハムやオムレツなど専門の料理に特化している場合も多い。ここで出される小料理を「タパス」ていう。
 バルセロナには「バル」の集合地帯があり、そのエリアのワイングラスは共用で、最初の店でワインを買ってあちこちの「タパス」を食べ歩き、最後の店でグラスを返せばいい。素材を生かした料理が多いので、マッシュルームはひっぱりだこだ。牛の血の色の赤ワインを楽しみながら、情熱の街の夜は更けていく。
HOW TO COOKING
マッシュルームのセゴビア風
1.マッシュルームは、さっと洗って石づきを根元から切り、裏に塩、胡椒、カイエンヌペッパーを振る。
2.生ハムを粗切りにして1にのせる。
3.厚い鍋にオリーブオイルを熱し、ニンニクの薄切りをちらして2を並べ、蓋をして蒸し焼きにする。