ゴーヤーチャンプルー

江上種英さん(江上料理学院主幹。昭和60経)

BALSAM PEAR(ゴーヤー)
 8月の沖縄には、十分すぎるほどの太陽が降り注いでいた。ホテルをふらりと抜け出し、国際通りを歩いてみることにする。戦後「奇跡の1マイル」と呼ばれたこの道の両側には、お土産物店やデパートが立ち並び、観光客がそぞろ歩いている。ヤマトンチュー(本土の人)の私には、日光をさえぎるものが少ないこの散歩は少々つらい。ちょっと休もうかと、国際通りを曲がった路地の奥にその市場はあった。ウチナンチュー(沖縄の人)の言う「マチグワー」だ。
迷路のような小路には、さまざま品々を売る店が広がっている。色とりどりの魚、豚の頭、燻製のイラブー(ウミヘビ)そして、鮮やかな色の野菜と果物。本能的にその圧倒されるようなエネルギーを、バテはじめていた体に、取り込みたいと思った。聞いてみると、市場で買った食材を2階で調理してくれるという。質素なテーブルが並ぶ食堂に席をとり、ラフテー(角煮)、グルクン(タカサゴ)のから揚げ、ゴーヤーチャンプルーを頼み、飲み物はオリオンビール。だるさが嘘のように溶けてゆく。箸休めは島ラッキョウ。
ゴーヤーはビタミンCを多く含み、疲労回復に効果があるという。エネルギーを補給して、市場の外へでてみると、ムッとした熱気がおそってきた。平和通りからやちむん(焼き物)の里へ。
壷屋焼は天和2年(1682)、琉球王府が窯業の育成と振興を図る為、知花焼、首里の宝口窯、那覇の湧田窯など地方にあった壷窯を、現在の那覇市壷屋に統合したのが始まりとされている。店から窯、工房と渡り歩いても不思議と疲れを感じない。沖縄の食べ物の秘められた力が、こんなところに発揮されているのかもしれない。
HOW TO COOKING
ゴーヤーチャンプルー
1.ゴーヤーを縦半分に切り、種とワタを取り薄切りにする。
2.豆腐はペーパータオルに包んで重しをして、水切りする。
3.豚バラ肉は2cmに切り、醤油、酒、砂糖で味をつける。
4.フライパンに油を熱し、豆腐をちぎりながら入れ、焼色がついたら塩ひとつまみを入れ、取りだす。
5.3を炒め、4を戻し入れ、酒、醤油、塩、胡椒で味を調える。
6.溶き卵を回し入れ、さっといためて、削り節をちらす。