江上種英さん(江上料理学院主幹。昭和60経)
SCAD(鰺)
青山の紀ノ国屋の裏に、素敵なガラスのショップを見つけたのは、どれくらい前だろう。ブリッジのようなエントランスを渡ると、そこには心地よい空間が広がっていて、様々な表情を持つガラスの作品が、自分の個性を主張している。ショップの方の話しでは、工房で若いスタッフが自由なイマジネーションで作品を創っているのだとか。黒いガラスのお重や、さかさまにするとビールジョッキになるユニコーンのオブジェなど、ドキドキするほど楽しいアイテムも多い。それがグラス ハウス スガハラとの出会いだった。
その後、あるきっかけを経て、このショップのオーナーの菅原さんの知己を得ることができた。お話を伺ってみると、非常な高温の中のきつい仕事なのだが、働きたいという希望者は後を絶たないらしい。海外からも多くの研修生を受け入れ、その感性と感性のぶつかり合いが、さらにユニークな作品を生んでいるという。おそるおそる、工房の見学をお願いすると、笑いながら、「体験するプログラムがありますから、どうぞ」とおっしゃってくださった。
初夏のある日、テーブルコーディネーターの友人たちと、千葉・房総の工房に向かった。工房は天井が高く、あちこちで真っ赤に焼けたガラスを膨らましたり、ガラスの固まりにハサミのような器具で切り込みをいれ、意外な形に作り上げている人がいる。お皿を作ることになり、ガラスの色を選ぶと、スタッフがドロドロに溶かしてくれる。それを「お好み焼き」のへラのようなもので、持ち上げお皿にするのだが、そんな簡単なことでも難しい。みるみる固まってしまうのだ。
レストランに向かうと、菅原さんのご家族が、手作りのランチを作ってくださった。スガハラガラスの製品に盛られた、房総名物の鰺は涼しげで、白ワインとの相性も抜群。帰りがけ、すっかり冷えて手元に戻ってきた我が作品は、想像とはちょっと違っていたけれど、なんだかとても可愛く思えた。
HOW TO COOKING
■お刺身のカルパッチョ風サラダ
1.鰺は三枚におろして、皮をとり、そぎ切りにする。
2.大根はせん切りにする。
3.ルッコラをお皿に敷き、1と2をのせる。
4.オリーブオイルとレモン、塩のドレッシングでいただく。