シュリンプのピーナツあえ

江上種英さん(江上料理学院主幹。昭和60経)

PEANUT(ピーナツ)
 どんよりとした東京を飛び立った飛行機は、7時間を費やしてオレンジ色の灯りのちらばる夜の中に降りていった。「神々の島」と呼ばれるバリは独自の文化をもち、人々は特有の宇宙観と「バリ・ヒンドゥ教」に根ざした信仰生活を送っている。ホテルに向かう路傍にもぽんやりと浮かび上がる祠があり、神々が祀られている。
翌日、太陽が昇ると、青い海から泡立つ波が褐色のビーチに打ち寄せていた。バリは、宿泊する場所によってまったく趣が異なるが、今回のステイはヌサドゥア。インドネシアのプロジェクトとして開発され、伝統的建築様式を模した快適なホテルが立ち並んでいる。
部屋の中にはラグーンに面したバルコニーがあり、直接おりて泳ぐこともできる。太陽の光をあびて軽い疲れをおぼえたら、BALI-HAlビールとおつまみを頼んでみよう。
料理といえばサテとよばれるピーナツみそをつけて食べる串焼きが有名だが、それ以外にもピーナツを良く使う。すりつぶしたものを和えたり、つけて食べたりする。島々でとれる新鮮なシーフードとあわせただけで、複雑で濃い味がかもし出されるのだ。
ライステラスと呼ばれる棚田が闇に沈む頃、ウブトのあちこちの寺院に炎がたかれ、バリ舞踏の音楽が響きだす。豪華な衣装に身をつつんだ精霊と少女が、複雑な手の動きで物語を表現する。芸術に心を奪われているうち、ふと我にかえると、自分の回りの空気がぐっと重たくなっているような気がした。
朝、バルコニーに出てみると、花と果物のすてきなプレゼントが届いていた。ラグーンから船で届けられたようだ。部屋の片隅のガルーダがほほえんだような気がした。
HOW TO COOKING
シュリンプのピーナツあえ
1.きゅうりは薄切りにして塩をしておく。
2.1がしんなりしてきたら、酢をふりかけて絞る。
3.塩茄でしたエビは皮をむき、縦2枚切りにする。
4.ピーナツは刻んですりつぶし、酢・塩・砂糖で味付けし、2・3を加え和える。