江上種英さん(江上料理学院主幹。昭和60経)
MAPLE SYRUP(メープルシロップ)
赤いメープルがシンボルのカナダといえば、ロッキー山脈と湖が思い浮かぶ。
しかし、静かで広大なこの国は、イギリスとフランスの植民地支配の対立の歴史が、いまも強い影をおとしている。実際にCanadian航空のanは、仏語のenにもみえるよう、工夫されたロゴマークになっているほどだ。
だが、本当の歴史は、白人の探検家が足を踏み入れる前からの原住民のインディアンたちによってつくられていた。彼らは、糖分の採取方法として、メープルの樹液を取り、それをメープルの木で造った小屋で煮詰めて、シロップにしていた。
インディアンたちに製造方法教わったフランス人は、この貴重な栄養源により厳しい冬を乗り越え、やがてその子孫の手により、メープルシロップはより芳醇なものへと変わって行く。
さて、バンクーバーは世界で最も美しい都市の一つで、入江と川と海峡が入り組んだ町には、森と高層ビルとがごく自然に調和している。リスが遊ぶスタンレーパークの向こうには、湾に浮かぶボートが整然と並んでいる。この町は北のハリウッドと呼ばれ、映画やテレビの制作が頻繁に行われている。ダウンタウンの南にある「エルポウルーム」では、朝からメディア関係者が巨大なプレートと格闘している。
さて、ここで活躍するのがメープルシロップ。巨大なパンケーキにかけたり、ハムステーキのソースにしたりする。ハムを大胆に切って口にほうり込めば、自然の恵みで元気になる。メープルシロップはカナダの朝食のスーパーヒーローだ。
HOW TO COOKING
■ハムのメープルシロップソース
1.26フライパンにサラダオイルとバターをいれ、温める。
2.1にロースハムを入でこんがりと両面とも炒めて、とりだす。
3.このフライパンにメープルシロップ、赤ワイン、ブイヨンを加え、弱火で少し煮詰め、塩コショウで味をととのえる。
4.器にハムをもり、3のソースをかける。