江上種英さん(江上料理学院主幹。昭和60経)
COCONUT(ココナッツ)
成田を夜飛び立った飛行機は、8時間でフィジーに到着する。そこからさらに20分ほど小型機で飛ぶと、そこがマナアイランドだ。この太平洋に浮かぶ島は、歩いて回れるほど小さい。ずっと南の島でニューイヤーを迎えたいと思っていた私には、絵に描いたようなシチュエーションが広がっている。青い海、白い砂、ビーチサイドの椰子。そしてこの島を選んだもうひとつ理由は、不思議な伝説を聞いたからだった。
その昔、偉大な神、ケディの加護を受けた幸福の箱を運んでいた船が大嵐と遭遇してしまった。船を軽くするため、荷を捨てていると、誤って大切な幸福の箱も捨ててしまった。神の怒りをかう前に探し出そうと、二人の勇者が海にでる。箱はマナ島の神である巨大なウミヘビが持っていた。勇者たちが箱を返してくれと頼むと、ウミヘビはこういった。「マナ島を訪れたものは2度と戻ることはできない。この島から離れることはできない。幸福の箱がここにある限り、民は歓待の精神を持ち、一度訪れた者は、再来の宿命を背負うのだ」
この「フィジーマジック」は現在も生きていて、ホテルのスタッフもホスピタリティーあふれるサービスをしてくれる。彼らが「簡単だよ」と教えてくれたのが「ココンダ」。白身魚をフレッシュレモンでマリネして、絞りたてのココナッツミルクで和えるこの料理は、本当に美味しい。
新年のカウントダウンはスタッフとゲストが家族のように一緒に騒いで過ぎていった。すっかり「フィジーマジック」にかかってしまった私は、あるとき再訪を試みた。成田のゲートまでいき、突然の通告。台風が航空路上に発生し、欠航だという。神様お願いしますよ!
HOW TO COOKING
■ココンダ
1.白身魚は塩をして、1.5cm角くらいに切る。
2.トマト・タマネギ・キュウリも1.5cm角くらいに切る。
3.1にレモン汁をヒタヒタになるようにかけ、冷蔵庫で3時間程ねかせる。
4.魚の表面が白くなったら取り出し、一回水で洗ってもう一度レモン汁をかける。
5.4に野菜を加え、ココナッツミルクで和え、塩コショウで味をととのえる。
6.上からチリをちらす。