理学部同窓会賞表彰学生インタビュー

「一番生活に身近な教科は…理科だ」 化学科 遠藤 康生さん

卒業式当日撮影 2025年3月20日

―  まず、現在の所属を伺います。

  東京大学理学系大学院に進んで地球惑星科学を専攻しています。

―  卒業研究について専門外の方にも分かり易く説明していただけますか。

  大野研究室で先生に気候変動について何か役に立つことをやりたいとご相談したとこ
  ろ、珪藻の研究をしたらどうかと勧めていただきました。

  海洋植物プランクトンの珪藻は光合成により大気中の温室効果ガスであるCO2の濃度
  に大きく影響を与えるため気候変動のメカニズムを理解する上で重要な生物です。
  珪藻はSiO2の殻を作るのでSi(ケイ素)を必須栄養元素として吸収しています。実際
  Siが潤沢に存在する北太平洋や南極海では珪藻の増殖が確認されています。それで珪藻
  がどのような経路でSiを取り込むのかを知ることも重要です。
  卒業研究では珪藻、陸源微粒子、海水試料の希土類元素パターンの分析を行いまし
  た。

希土類元素パターンとは希土類元素間の相対存在度を繋いだ曲線で、海水と陸源微粒子で異なる概形を持つため、珪藻の希土類元素パターンがどちらに似ているか比較することで珪藻の元素吸収源を調べることができます。東京湾の海水は希土類元素のGd(ガドリニウム)が大量に検出される場所(MRIの造影剤にGdが使用されている影響)であり、陸源微粒子の希土類元素パターンと比較がしやすいため、東京湾試料の希土類元素濃度を測定しました。

  その結果、東京湾珪藻の希土類元素パターンは陸源微粒子の希土類元素パターンと酷
  似していました。また、珪藻が吸収する希土類元素とSi の関係を補正した結果、珪藻
  はSiのほとんどを陸源微粒子から取り込んでいることが分かりました。Siの同位体比を
  調べる方法もありますが、卒研の限られた時間のなかで、希土類元素からのアプロー
  チに絞って研究しました。


― 直接的にすぐ地球環境に社会貢献できそうな研究ですね。大学生活はどうでしたか。1年生の時はもしかしてコロナの時でしたか

  コロナの2年目くらいで、緊急事態宣言がたびたび出ていたので、リモートの授業が半
  数以上を占めていて、なかなか対面で授業を受けられない、友達に会えない状況でし
  た。実験は対面でさせていただけました。それは良かったかなと思います。

何か部活とか?

  学業との両立が難しく勉強一筋です。研究室に入る前は、授業で一緒の友達と夜ラーメ
  ンに行ったりとか交流がありました。研究室に入ってからは、研究室飲み会があった
  り、たびたび大野先生も含めてお誕生日会はしていました。

―お酒は強いのですか。

  段々強くなっています。父がお酒好きなので、家でも結構飲んでいます。 

―アルバイトなどはされましたか。

  口下手なので、接客でトレーニングしようと思って和洋菓子の販売をしていました。

―5年後10年後の夢は?

  博士課程に行くのか、企業に就職するのか修士課程の間に考えようかと。あとは旅が
  好きなので、日本各地を一人で自由気ままに回ってみたい。最近ですが、久しぶりに
  友達と金沢に行きました。海鮮はいっぱい食べてきました。
  あと、蕎麦とかも。21世紀美術館にも行きました。

―ご趣味は?

  趣味は結構色々ありまして、漫画を読んだり、アニメの鑑賞をしたりします。“キング
  ダム”中国の統一の話なんですが、それにはまっています。

自然が好きなので、自転車で放浪の旅というか、日帰りでなるべくお金がかからない範囲で楽しんだりしてます。きれいな景色があったりすると、その場で止めて写真を撮ったりするのも好きです。

―好きな食べ物は?

  小さいころから変わらずカレーライスが好きです。甘過ぎなければ何でも大丈夫です
  が、やっぱり辛いほうが好きです。COCO壱番屋だと10辛とか食べてます。

―小さい時から科学にご興味があったのですか?

  中学の理科の先生の言葉で「一番生活に身近な教科は家庭科ではなく理科だ」という
  のがとても印象的に残っています。そこから興味を持つようになったんだと思います。
  自然が好きなので、高校の頃から地球化学をやりたいなと思うようになりました。


Zoomにて 2025年5月16日
聞き手 松澤節子 真船貴代子