平成29年9月度の二木会を次の通り開催しましたのでご報告致します。
1.日時 平成29年9月14日(木) 18時30分~20時30分
2.テーマ 「台湾情勢について」
3.講師 熊谷春水氏 (昭和45年大法法卒)
三菱商事株式会社入社 ポルトガル、ドイツ、台湾等に駐在。
大日本塗料㈱シンガポール・マレーシア・インドネシア・タイ現地法人社長 大日本塗料㈱執行役員を歴任
4.出席者 22名
講演要旨
ご講演頂いた熊谷氏は、三菱商事のポルトガル、ドイツの海外支店に駐在され、台湾でも6年間勤務されました。その在職中の経験から、台湾が世界一の親日国になった経緯や中国との特異な関係等について、深い造詣を巡らせ、台湾の歴史史観を説明して頂きました。
台湾の概要、歴史、被統治時代及び政治的進展についての要約から始まった。日清戦争により台湾の割譲を受けた日本は、1945年までの50年間の統治期間に児玉源太郎、後藤新平を始めとして、法治国家への確立・インフラ・医療・教育・製糖業振興等に大きく貢献した。戦後、台湾経済の成長・発展は、中小企業の活躍、豊かな資金力、日本的経営、華僑とのつながり、柔軟思考とハングリー精神を礎に大きく成長した。台湾経済は、2000年まで8.1%の高い成長率を遂げ現在でも3%を維持している。又、スポーツ用品及びIT・半導体などのOEM/ODM生産を黒子として、確実に遂行している。
大戦後、蒋介石が率いる台湾国民政府は金門島で中国と戦った。李登輝総統は在職中に、中国との「二国論」を提唱した。2000年に民進党が初めて、政権を取った。2016年の総統選挙では民進党の蔡英文が圧勝した。
中国との関係に関して、最盛期、台湾の中国への進出企業は、6万社で100万人の駐在員数に上った。又、中国の民営企業の中で輸出貢献企業のトップ10社のうち5社が台湾企業であった。一方で、中国が抱える疾患として、①貧富の格差拡大②汚職による腐敗③自然(空気・水・土)の汚染④少数民族への虐待・弾圧が挙げられる。又、経済面でも①不動産バブル②株式バブル③設備過剰が問題となっている。
(文 新道正雄)
台湾はハリツー(日本大好き族)と言われ世界で一番の親日国であり、好きな国ランキングでも、1位.日本(56%)、2位.中国(6%)、3位.米国(5%)の順となっている。 東日本大震災への寄付金は世界トップクラスの2億5200万ドル(約280億円・現在のレート換算)に達した。
台湾と韓国は、ともに大日本帝国による統治を受けていたという共通点がある。しかし、台湾には親日家が多く、韓国では反日感情が根強く存在し、日本への対応や感情は正反対と言ってもよいほど異なるのはなぜなのだろうか。
熊谷講師は、李登輝元総統の話を引用して、次のように回答された。
韓国は清国の属国ではあったものの、元々文化の蓄積があり、既に国としての形が出来ていたため、日本の統治に対し自然と排斥感情が生まれたのであろう。
一方、台湾はジャングルの島で、風土病のはびこる「化外の地」とされ、怖くて近寄れない原始的な状態にあったので、清国もあまり関心を示さない土地であった。
そのような状態の島に対し、日本統治により、次の施策が行われた。
1. インフラの整備(港湾、ダムの建設、鉄道の敷設)
八田與一はダム建設による灌漑設備の整備により不毛の土地を穀倉地帯に変えた。その功績は台湾の教科書でも有名である。
2.医療、衛生、都市政策の施行
当時、伝染病が野放し状態で病気に苦しんでいた台湾において、日本の統治によって公共衛生の改善が行われ、マラリアやコレラなどの伝染病の発生が抑止された。
3.経済改革、農業の振興
新渡戸稲造は殖産事業の要が製糖業にあると確信し、台湾の製糖業の振興に貢献した。
4.法治国家
日本の警察が治安維持に取り組み、「法を厳格に守る腐敗なき治安」を定着化させた。
加えて、学校を建て、日本人教師を派遣し、日本と同じ教科書を使うことにより識字率や教育水準を高め、道徳、マナーをも教えた。
これらの施策がうまく機能し、「日本が台湾の発展に貢献してくれた。」との思いが、現在の親日感情に結びついているのではないだろうか。
(文 木口久喜)

昭和45年卒の同期の友人も遠方より出席。結束が強い。

同期を代表し森川倫英氏(昭和45年大理化)から熊谷講師(写真右側)へ記念品の贈呈。

中村多加志氏(平成3大経営)のリードによる「院歌」で締め括り。