令和元年10月桜友会月例会報告

 2019年10月10日(木)18時より霞会館にて行われました桜友会の月例会で、我が関西桜友会の畑中世話人が講演されました。関西桜友会からも北河原会長を始め約10名が応援に東京まで行って参りました。初めて霞会館に足を踏み入れる人も多く、少々緊張の中桜友会本部の月例会を体験してまいりました。畑中先輩の同級生やクラブのお仲間たちも多数いらっしゃり、参加者は100名を超える大盛況でした。また、普段よりスーツ姿の男性がかなり多かったようで、畑中先輩の影響力の強さを感じました。学習院での学生時代の頃の様子から就職され証券会社で鍛えられ、その後自ら会社を立ち上げてこられた大変興味深いお話しを流暢にお話しされていらっしゃいました。演題の『そして、奈良・・・』の奈良とのご縁、奈良の素晴らしさ、これからの奈良のさらなる偉大な魅力についてお話し下さいました。私共幹事も本部桜友会月例会に参加でき、大変良い経験をさせて頂きました。

正倉院展特別見学と懇親会開催報告

 2019年11月14日(木)にいつもの二木会の会場ではなく、奈良国立博物館において開催中の第71回正倉院展特別見学ツアーを施行しました。紅葉の始まりかけた美しい秋の奈良での二木会には総勢40名がご参加下さいました。
 今回のツアー開催にあたり、北河原会長、畑中世話人には大変ご尽力賜りましてありがとうございました。正倉院展鑑賞に際し、奈良国立博物館館長様にはご挨拶賜り、学芸部長様には展覧会の解説をしていただきまして心より厚く御礼申し上げます。おかげさまで、鑑賞する着眼点がはっきりわかり、とても有意義に一点一点を観ることが出来ました。
 鑑賞後は館内の畑中先輩のカフェで、大変美味しい中華料理を破格の会費でご提供下さいまして感謝いたしております。

秋の親睦ゴルフコンペ開催報告

  2019年10月30日(水)よみうりカントリークラブにて、関西桜友会秋の親睦ゴルフコンペが開催されました。素晴らしい秋晴れのお天気の中、美しいゴルフコースで皆様と楽しくお話ししながらラウンドし、親睦を深めました。よみうりカントリークラブのメンバーでいらっしゃる寺西大先輩のご出席、ご寄付の下、総勢20名の賑やかなコンペになりました。また成蹊大学のOBの方々も多数ご参加下さいましてありがとうございました。コンペ幹事の中村良平先輩には、懇親会の楽しい司会進行と沢山の皆さんが喜ばれる賞品をご用意して下さり感謝いたしております。

  ダブルペリア方式で、山本舜一先輩が優勝されました。


関西桜友会令和元年10月度 二木会開催報告

1.日時  令和元年10月17日(木) 18:30〜
2.テーマ 「即席麺『産業』を立ち上げた人
       〜日清食品創業者・安藤百福に学ぶ」
3.講師  吉村典久氏 (平成3年大経営)
大阪市立大学 大学院教授
4.参加者 21名

関西桜友会の二木会

講話の要旨

 安藤百福氏は、1910年台湾に生まれ、来日後は大阪を基点に様々なビジネスを手がけた。戦後の焼け野原の大阪で食を求める人々を見て「ラーメンを家庭で作って食べられるなら、大衆に喜ばれる仕事になるのでは」と思って事業化を考えた。1948年に食品販売会社を設立する一方、金融機関の経営に請われて参加、それが破綻の憂き目にあう。困窮を極めた百福氏であったが捲土重来を期してラーメンの開発に没頭、1958年に世界初の即席「チキンラーメン」を商品化して社名を「日清食品」と変更した。

チキンラーメンの上市に際しては、『逆算の発想』をとり、「おいしいこと」「保存性」「簡便性」「安価」「安全性」を満たすための必要条件を考案した。ところが、百貨店のデモ販売では好調だったが、値段が高く売れなかった。しかし当時は、中内功氏が主婦の店「ダイエー」を立ち上げるなどスーパーマーケットが台頭を見せた時代であった。そこに着眼して、差別化のポイントとなるProduct/Price/Place/Promotionのうち例えば、当時では異例な、メーカーから直接スーパーに販売するなど、最終顧客との関係を重視する形式をとった。また早い時期からテレビCMや番組スポンサーになるなど、時代の最先端の販売促進に邁進した。

 販売が軌道に乗り出すと、新規参入が相次ぎ、創業者利益を得るため特許侵害と闘うこととなる。しかし1960年に製法も周知商標と登録されると1社だけで成長を見せるよりも、市場全体の拡大を通じた即席麺の「産業化」することを目論んだ。また、即席麺が価格競争により粗悪化して、業界のイメージが悪化することを避けるため1964年にラーメンの食品工業会を設立して業界の健全化にも取り組んだ。こうした百福氏の取り組みは、商品開発に成功し「0を1に」するだけではなく、「1を100に」して「産業化」を試みたものであると評価できよう。

 くわえて販売促進の施策としては、①銀座の歩行者天国で宣伝し、②カップヌードルの自動販売機を24時間事業所に設置し、③商社と提携しアメリカや海外でも市場を開拓している。こうした様々な取り組みも、即席麺の「産業化」に資するものであった。松下幸之助氏は家電を、ヘンリー・フォード氏は自動車を、スティーブ・ジョブズ氏は各種のデジタル機器を、それぞれ一般大衆の間に広めた。彼らは必ずしもそれぞれの業界における最初の発明などをした経営者では必ずしもないが、「1を100に」したことで世の中を変えた経営者である。百福氏もそうした経営者の1人として評価できよう。
以上

 今回は、10月10日の第二木曜日に東京の桜友会の月例会で、我が関西桜友会の畑中世話人が講話されたため、1週間遅れの異例の第三木曜日に開催されましたにも関わらず、多数の皆様にご参加頂きありがとうございました。また、異例の第三木曜日ということで、ご都合がつかなかった皆様にはご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした。
 吉村先生の軽快なお話しぶりにグイグイ引き込まれながら、時々挟まれるここだけのお話が大変興味深く、あっという間の1時間でした。さすが吉村先生、お顔も広くていらして、会終了後に会場でお知り合いの方々にお会いし、大変賑やかなひとときでした。



関西桜友会令和元年9月二木会開催報告

1.日時 令和元年9月12日(木)18:30〜

2.テーマ
   「都心に残された最後の一等地

うめきたのまちづくりについて」

3.講師 平賀一輝氏(平成27年大法政)
   独立行政法人UR都市機構 勤務

4.参加者 24名

講演の要旨

都心に残された最後の一等地

UR都市機構は、国土交通省所管の「UR」と呼ばれる独立行政法人である。主要業務は都市再生、住環境及び災害復興がある。演者は、2018年からURへ入職し、大阪駅周辺の『うめきた2期事業』の都市再生業務を担当している。『うめきた2期事業』におけるURの役割は基盤整備事業と民間誘導である。基盤整備事業では、都市機能の更新を図る土地区画整理事業及び防災機能の強化を図る都市公園事業を行っている。民間誘導では、国際競争力を備えた『「みどり」と「イノベーション」の融合拠点』の実現を図るため、2段階の民間事業者募集を行い、2018年7月に三菱地所を代表とする開発事業者を決定した。開発事業者は事業企画提案として「~ 希望の杜―Osaka “MIDORI” LIFE 2070 の創造」を掲げている。なお先行開発区域における民間誘導では、「グランフロント」が整備された。

「うめきた2期区域まちづくりの方針」は、大阪市が『「みどり」と「イノベーション」の融合拠点』をまちづくりの目標として策定している。まちづくりの方針では、①新産業創出、②国際集客・交流、③知的人材育成の三本柱があり、多様な価値を生み出す「みどり」と「イノベーション」を支える中核機能として、うめきたが世界からの人材、技術を集積・交流させ、新しい産業・技術・知財を創造することで、新たな国際競争力を獲得し、我が国の成長エンジンとして世界をリードする「イノベーション」の拠点にしたいという事業の狙いを感じさせる。大阪万博前の2024年から順次行われるまちびらきに是非期待してほしい。

以 上 

今回は、大学卒業5年目の我が関西桜友会若手のホープ平賀君が、勤務先会社の上司の後押しを受け、講演してくれました。うめきたの一等地の開発には皆興味津々で聴き入っておられました。参加者最年長の頴川先輩から最年少の平賀君に記念品が贈呈されました。老若男女和気あいあいと講演後の懇親会も楽しんでおります。大学卒業して間もない方々も転勤で一時的に関西に在住の方々も、どうぞお気軽にご参加ください。

秋の阪神競馬特別観戦のご報告

 

        秋の阪神競馬特別観戦が2019年9月日( 10時30分より仁川にあります阪神競馬場にて開催されました。当日は気持ちの良い晴天の青空と競馬場の芝生の緑が美しい一日でした。JRA OBの今野先輩のお計らいの元、総勢57名の方がご参加下さり、90代の大先輩から20代の若手、最近関西に転勤して来られた初参加の方々など、皆さまが和やかに交流しながら競馬を楽しんでおられました。

関西桜友会 令和元年7月度二木会開催報告

 1.日時              令和元年7月11日(木)18:30〜

2. テーマ          インド日本寺開山45周年法要に参加して

3. 講師              畑中利久(昭和47年 経)他 参加者による報告

4. 参加者          26名

 

講演の要旨

昨年の11月に、釈迦悟りの聖地インド、ブッダガヤにおける、日本寺開山45周年法要に関西桜友会から北河原公敬会長と11人が参加した。この約一週間の巡礼ツアーで日本からの参加者は44名であった。

天竺(インド)へは、日本寺竺主として北河原会長は何度も訪ねられているが、インドへの旅行には一般的に好みが分かれることが多いのは食事や生活環境の違いから、そのような事情が出ると思われる。アルコールについても、イスラム文化の影響で地方や地域・地区によって禁酒のところが多い。

釈尊が悟りを開いた場所である、ブッダガヤのマハーボディ寺院の近くに1968年に創設された「印度山日本寺」を訪ねた。そこで現地の僧侶や子供たちの歓迎集会を受け、北河原竺主の主導の下全員でお経を挙げ45周年の法要を行った。荘厳な巡礼地での礼拝に感動して、インド住民の生活模様から死生観までを直視して、我々自身の経済観念と人生観を振り返る神聖な気持ちになった。

日本寺の敷地内には1977年に日本仏教会によって地元の貧困家庭の子供(約200人)を対象に給食付きの幼稚園(無料教育施設)「菩提樹学園」が設立されている。現在も運営活動中で本日の二木会にはその学園卒業生であるラウル・アグルワール氏が出席して下さった。氏は、ブッダガヤにあるスジャータホテルをご家族で経営されておられ、日本でも京都にてインド料理を経営されている。

今年も11月に「印度山日本寺」を訪ねる敬虔な礼拝を行う記念法要からガンジス川の聖地 ベナレス等観光地を巡る、ツアーが企画されている。

(なお、この巡礼法要の概要ついては、平成30年6月の二木会講演で北河原会長によってすでに、ご紹介頂きました。ご参照ください。)

以上

   インド旅行には、関西桜友会からと東京からの方たちと一緒に参加させていただき、大変楽しく思い出に残る経験をさせていただきました。聖地ブッダガヤでの貴重な体験にご興味のある方は是非今年の11月のツアーにご参加下さい。

    次回の二木会は9月12日に大学卒業4年目の若手のホープ平賀一輝氏(平成27年大法政 独立行政法人UR 都市機構 勤務)による「都心に残された最後の一等地  うめきたのまちづくりについて」の講演となります。是非皆様奮ってご参加下さい。

関西桜友会令和元年6月度 二木会開催報告

1.日時    2019年6月13日(木)18時30分〜

2. テーマ  「検察官を辞めたから言えること」

3. 講師    巖文隆氏(昭和49年大法政卒)

       税理士法人日本税務総研にて弁護士・税理士

4. 出席者    32名

 

講話の要旨

2009年の裁判員裁判施行から10年が経った。約7割の人が裁判員を辞退しているが、裁判員となった人の約95%は参加してよかったとの感想を述べている(参加するのは比較的関心の高い人が多いため?)。新制度のメリットとしては、①検察官や弁護人が説明資料を工夫、要領よく整理して公判の準備をするので、一般の人にも分わかりやすい裁判となった点。②参加した裁判員の意見(市民感覚)が判決に反映される点などがある。殺人や性的犯罪については従来より、量刑が重い傾向にあり、刑事事件では、従来検察官の求刑を超える判決は少なかったが、裁判員裁判になって求刑超えの判決が増加したことなどは市民感覚の反映ともいえる。

アスペルガー症候群の被告人(弟)が実姉を刺殺した事件に対して、裁判員裁判で検察官の16年求刑を上回る懲役20年を言い渡す判決が下された(大阪地裁2012年7月30日)。この判決では、「精神障害者の受け入れ体制がないことや社会秩序の維持」などが加重理由とされている。障害者への無理解と偏見が司法判断に持ち込まれたもので裁判員裁判のマイナス面でもある。上級審の大阪高裁では、「障害の影響を正当に評価しておらず不当に重い」として原判決を破棄し懲役14年を言い渡した。

また、裁判員裁判になってから、被害者1人の殺人でも死刑になった判決が増えているが、上級審では破棄され無期懲役になったケースも多い。量刑データベースを参考にした従来の量刑手法には賛否両論があり得る。基本的に裁判員の意見を尊重する傾向はみられるが、上級審で原判決を見直すケースも見受けられるた。初めて死刑を求刑した、「新橋ストーカー殺人事件」(2010年10月無期懲役-双方不控訴)。新制度初の死刑確定判決となった「横浜港バラバラ殺人事件」(2010年11月死刑-控訴取り下げ)。
事実認定に関して、死刑求刑事件で初の無罪判決を下した「鹿児島高齢夫婦殺害事件」(2010年12月)。初の全面無罪判決となった「成田チョコレート缶覚せい剤密輸事」(2010年68月)では、裁判員裁判で初の検察官控訴がなされ、高裁で1審の無罪判決を破棄したが、最高裁で再逆転無罪となっている(2012年2月)。

覚せい剤の密輸入は、いわゆる運び屋の事件で覚せい剤だと知らなかったという弁解を崩せるかどうかの問題で一般市民が判断するのは難しい。また、通り魔事件などでは必ず責任能力が問題となり、裁判員裁判では責任能力や精神鑑定の内容を判断するのは相当困難を伴う。市民参加という観点から新制度の意義は認められる一方で、誰のための裁判か?という点では疑義も残る。本来刑事裁判は被告人のためのものだが、裁判員に分かって貰うためになすべき審理が十分に尽くされないというのではいけない。今後は再犯率、黙秘権行使、取り調べの可視化、高い保釈率、長期化する裁判、量刑判断、検察審査会など検察制度も含めて、現行司法制度の長短が表出してくる。検察官が証拠のデータに手を加えるというおよそ考えられない事件があったために、検察官に対する信頼そのものが失われている。
以上

  今月の二木会は出席者32名と大賑わいで、大変嬉しい限りでした。20代の若手から90代の大先輩までが集い、また久しぶりに長池さんもおいで下さり、とても賑やかな会になりました。

   今年も関西桜友会の競馬観戦が、9月8日(日)に阪神競馬場にて開催されることが決定いたしました。参加ご希望の方は、幹事までお知らせ下さい。このホームページ内のContact us からのご連絡お待ちいたしております!

   また、10月10日(木)には桜友会本部の月例会にて、畑中世話役が講演されます。霞会館にて18時〜20時です。このため、二木会は10月だけ、例外的に第三木曜日、10月17日(木)に開催されますので、お間違えのないようよろしくお願いいたします。

 

 

関西桜友会令和元年5月度 二木会開催報告

1.日時         2019年5月9日(木) 18時30分〜

2.テーマ 「日本画の愉しみ~明治の金メダリスト・大橋翠石をめぐって」

3.講師        村田  隆志氏 (平成18年 哲博士)

                     大阪国際大学  国際教養学部准教授

4.出席者     24名

 

講話の要旨

「芸術の価値」とは、鑑賞者が心を動かされるもの、つまり、心の振り幅を大きくする絵画や作品を創る芸術家が良いと言える。演者は、学習院大大学院で美術史を専攻し、特に水墨画で自然花風を描く松林桂月等の研究を深めた。相国寺の承天閣美術館や神戸新聞社の企画などで展覧会の監修も美術振興のため展開している。

大橋翠石(1865~1945)は、岐阜県大垣市に生まれ神戸市須磨区に移住した日本画家で、「虎の翠石」と言われ名高い。鐘淵紡績支配人の武藤山治や松方幸次郎ら、財界人の支援を受け、「阪神間の資産家で翠石の作品を持っていないのは恥」とまで言われた。翠石の画は「日本古画評価見立て便覧」(昭和5年)で、東の横山大観、西の竹内栖鳳と並ぶ3000円の画価にて珍重されていたが、神戸の博物館・美術館にはいまだ一点も所蔵されていない。

翠石は、内向的な性格で、神戸には結核の転地療養のために訪れていた。その反動として、強い虎の力にあやかりたいと、特に虎を画いた。円山応挙の虎を見て、独特の毛書き手法で虎を完成していった。そして、1900年(明治33年)のパリ万国博覧会にて「猛虎図」は、日本人で唯一の金牌を受賞した。また、晩年期は、リューマチを患い、一時期は左手で描いてもいる。20歳で夭折した息子の不幸も乗り越えるため、無欲恬淡に虎以外の動物画、観音像や山水の作品を手掛け、その作品は岐阜県美術館を始め全国で所蔵されている。

1927年、東郷平八郎や金子堅太郎らが発起人となって、上野で「百幅画会」が開かれたほか、明治・大正の両天皇には作品を献上している。最近では安倍首相がプーチン大統領に翠石の虎の掛け軸を贈った。2020年4月には、兵庫県立美術館で大橋翠石の画業を通覧する展覧会の企画を、現在監修者として担当している。

 

以上

      

    講演中に村田先生がご自身所蔵の大橋翠石の作品をご持参下さり、ご披露してくださいました。実物を間近に観ることが出来、貴重な体験をさせていただきました。

    また、当日は北河原会長のお誕生日で、会員皆でお祝いの乾杯をさせていただきました。

     お久しぶりのコーナーでは、平成30年度芸術選奨文部科学大臣新人賞を見事受賞された菅原真弓大阪市立大学教授(昭和11年哲博士卒)が、受賞理由の著者『月岡芳年伝~幕末明治のはざまに』を披露されました。

     今回は北河原会長、大先輩の頴川様、東京からお越しの中高桜友会会長の沼田様、副会長の山崎様に昨年卒業したばかりの若手まで24名が参加して下さいました。

関西桜友会平成31年4月度 二木会開催報告

 1.日時         2019年4月11日(木) 18時30分〜

2.テーマ 「カントの平和論と現代国際社会」

3.講師        遠藤  雅巳氏 (昭和56年 修政)

                     神戸国際大学  経済学部教授

4.出席者     27名

 

 講演の要旨

20194月 カントの平和論と現代国際社会

 

             『カント平和論』は、1795年にプロイセンの対仏単独講和で締結した「バーゼル和約」に対する批判を書くため出版された。このような条約では戦争を防止するには不完全であると考え、永遠平和を実現するための6つの予備条項と3つの確定条項を論考した。

 

            それらの条項は、一見理想主義的に見られるが、現実的な紛争を阻止する平和的な国際秩序を目指す条件が列挙されている。「国家」は君主のものではなく共同体で、大国による領土分割は、万民法に反する。国民義勇軍による防衛制を考え、戦争のための国債を抑制し、啓蒙主義の「人権」を守り、戦争犯罪を否定した。

また、政治体制は「共和制」が自由・法治・平等を保証するもので、戦争を回避する。

「平和連合」の確定条項は、第一次世界大戦後に国際連盟、第二次後に国際連合が成立し、安全保障理事会及び国際司法裁判所の設置も実現した。

 

            1980年代、クリントン政権下で「ロジスティック回帰分析」統計の結果、民主主義(デモクラシー)国家の間では、戦争は第二次大戦後0回、軍事的威嚇39件中2件のみ、一方だけが民主主義国家の場合の武力紛争が32件発生している証明から『カント的平和論』が復権した。

 

            カントの「共和国」による平和政策は、集団安全保障体制、自由で相互依存な民族間・経済金融間のグローバリゼーション、大国が他国のデモクラシー擁護の使用する軍事力等々によりカントが批判した世界統治体の性格が強くなったので、現在では、オリジナルのカント平和論の貢献が期待され始めている。

以上

   今月は、先月初めて参加してくれた卒業2年目に入ったばかりの若手を始め、お久しぶりにお越しの大先輩は初めて奥様とご一緒にご出席下さり、会社の先輩に連れてこられた若手女子や、また次回のご来訪をお約束して下さった先輩の初参加 もあり、大変賑わいました。

   富永先輩から、今年の10月10日第二木曜日に、東京の本部の霞会館で行われる月例会にて、関西桜友会 世話人の畑中先輩が講演されるとの発表がありました。桜友会本部の二木会にも積極的に参加していただきたいので、関西桜友会の二木会を10月は1週間ずらして、10月17日の第三木曜日に開催させていただくことになりました。

 

 

関西桜友会 平成31年3月度 二木会開催報告

 

1. 日時         2019年3月14日(木)

2. テーマ 「関西弁の謎を探る」

3. 講師        都染直也氏 (昭和56年 国文)

                    甲南大学 文学部日本語日本文学科 教授

4. 出席者     21名

講話の要旨

関西弁はすべて同じ高さ、高い音で発音することができる。東京弁は、アクセントが最初の音と次の音は高低が異なる(例えば、ニワ、カタチ、ナミダ)が、関西弁は平板的な高い音を続けることができる。一方で、同じヒが、中国語のように発音されることもある「比(第一声)」「火(第二声)」「火貸して(第三声)」「日(第四声)」。

 

関西の三都(京都、大阪、神戸)の『ことば』は違う。「書く」の敬語は、京都・大阪では「ハル」を使うが、神戸方言は「テヤ」になる。その打消しの接続もそれぞれ「ヘン」と「エン」になる。同じく、「東京」や「十」のアクセントや人がイテル」と「人がオル」と表現することも京都・大阪」と神戸では異なっている

 

伝統的な関西弁は、「音声、語彙、語法」などがテレビの影響で変遷し、若い世代ではほぼ消滅している。日本語方言は、東京式、京阪式、無アクセントに大別されるが、京阪式と呼ばれるアクセントは30年もすると絶滅することが予想される

 

グロットグラム(地理年代言語図)で大阪~姫路間を確認すると、『買った』は低年層「カッタ」、中・高年層「コータ」一方、中・高年の「カッタ」借りた』のため、「カッタ」が同音異義語となる。しかし、東京の『買った』の「カッタ」とはアクセントが異なり、いわば新しい方言が生まれたことになる

 

中国、近畿、北陸西部において、『(バスが)来ない』をグロットグラムで見ると「コン」「コラン」「コーヘン」「キエン」「キエン」「キーヘン」「キーヒン」「ケーヘン」「クレヘン」など日常的基本語形ではあるが、地域差、年代差が見られる

 

関西弁の未来は、首都圏の影響を受三都の『ことば』の差異が小さくなるが、首都圏のことばも変化を続けながら広がりつづけている。

以上

 

今回は年度末ということで、大阪から出られることが決まった方がおられ、ご挨拶がありました。必ず来阪の機会を作り、遊びに来てくださるとお約束して下さいました。また、久しぶりにご参加の方がご婚約報告をされ、昨年大学を卒業したばかりの初々しい桜友会会員の方が来られ、大変盛り上がりました。

 

 

 

関西桜友会 平成31年2月度 二木会開催報告

(1. 日時        2019年2月14日(木) 18:30〜20:40

2. テーマ 「見え難い未来?日本企業に必要なイノベーション創出を考える」

3 講師         村井啓一氏 (昭和46年院化)

                     学習院大学大学院卒業後、キャノン入社。複写機、プリンターの研究開発、その他多くの新規事業創出の失敗と成功に関わり、材料技術研究所長を務められる。定年後、技術、研究開発アドバイザーとして多くの企業向けに各地で講演をされておられる。

4. 出席者 27名

講演の要旨

日本企業に必要なイノベーション創出を考える

・戦後70年間、日本の企業社会は政府の護送船団方式のもと、電化社会の高 度成長を築き1985年には「ジャパン・アズ・No1 」として世界の先頭に立っ た。ところが、1990年のバブル崩壊後、最近では売上高営業利益率がアメリ カの平均8%に比べ4%と世界でも低く、全産業の国際競争力も北米企業の1 /3ま で落ちている。

・グローバル競争下では、①韓国・中国・台湾等のアジア企業と新興国に薄型テレビ、パソコン製品で価格競争により利益率が低下し、②横並び競争及びデフレから撤退を止むなくされ、③広い分野における事業の選択と集中が求められる。

・日本が競争力を回復するには、①特許で差異化されたイノベーションが必 要となる。②新しい時代変化の中で事業ドメインにシフトが起きている。サイ エンスマップ2016などに観ることができるように、医療・ライフサイエン ス分野や化学・新材料分野が近い将来の事業ドメインの中心になりつつある。 ③それらのイノベーション 技術を基に5G, AI&ICT活用、 IOTの普及、 第4 次産業革命への戦略が 必須である。

・日本企業は、サイエンスが個人・企業・社会・国家・地球・宇宙的ニーズ を解決できるように、R&D戦略を創出する人材と組織風土マネジメントを育 成する長期創業型事業を前提とすべきである。

      本年から二木会の幹事が新しいメンバーに変わり、若手5人(自称)で引き継がせていただき、皆さまの前でご挨拶させていただきました。この日は、ちょうどバレンタインデーでしたので、女性幹事3人から気持ちばかりのチョコレートを皆さまにプレゼントさせていただきました。さらに、本当に若い平成20年代卒の方がお二人初めて来てくださり、嬉しい一年のスタートとなりました。