1. 日時 2019年3月14日(木)
2. テーマ 「関西弁の謎を探る」
3. 講師 都染直也氏 (昭和56年 国文)
甲南大学 文学部日本語日本文学科 教授
4. 出席者 21名
講話の要旨
関西弁はすべて同じ高さ、高い音で発音することができる。東京弁は、アクセントが最初の音と次の音は高低が異なる(例えば、ニワ、カタチ、ナミダ)が、関西弁は平板的な高い音を続けることができる。一方で、同じヒが、中国語のように発音されることもある「比(第一声)」「火(第二声)」「火貸して(第三声)」「日(第四声)」。
関西の三都(京都、大阪、神戸)の『ことば』は違う。「書く」の敬語は、京都・大阪では「ハル」を使うが、神戸方言は「テヤ」になる。その打消しの接続もそれぞれ「ヘン」と「エン」になる。同じく、「東京」や「十」のアクセントや、「人がイテル」と「人がオル」と表現することも「京都・大阪」と神戸とでは異なっている。
伝統的な関西弁は、「音声、語彙、語法」などがテレビの影響で変遷し、若い世代ではほぼ消滅している。日本語方言は、東京式、京阪式、無アクセントに大別されるが、京阪式と呼ばれるアクセントは30年もすると絶滅することが予想される。
グロットグラム(地理年代言語図)で大阪~姫路間を確認すると、『買った』は低年層「カッタ」、中・高年層「コータ」、一方、中・高年の「カッタ」は『借りた』のため、「カッタ」が同音異義語となる。しかし、東京の『買った』の「カッタ」とはアクセントが異なり、いわば新しい方言が生まれたことになる。
中国、近畿、北陸西部において、『(バスが)来ない』をグロットグラムで見ると、「コン」「コラン」「コーヘン」「キエン」「キエン」「キーヘン」「キーヒン」「ケーヘン」「クレヘン」など日常的基本語形ではあるが、地域差、年代差が見られる。
関西弁の未来は、首都圏の影響を受けて三都の『ことば』の差異が小さくなるが、首都圏のことばも変化を続けながら広がりつづけている。
以上
今回は年度末ということで、大阪から出られることが決まった方がおられ、ご挨拶がありました。必ず来阪の機会を作り、遊びに来てくださるとお約束して下さいました。また、久しぶりにご参加の方がご婚約報告をされ、昨年大学を卒業したばかりの初々しい桜友会会員の方が来られ、大変盛り上がりました。