日 時:平成27年6月27日(土)
場 所 : 中央研究棟302番教室
平成27年6月27日、理学部同窓会の平成27年度定時総会および講演会、懇親会が開催されました。
本年度は理学部同窓会設立60周年の記念総会であり、会長より同窓会の沿革概要と諸先輩への謝辞、および今後の更なる発展を目指し会員への協力依頼の挨拶がありました。また開会前の待時間には、これまでの同窓会行事のスライドが投影され、懐かしい写真に楽しい思い出がよみがえってきました。
総会
● 会議は四方のぞみ氏(昭54数)の総合司会により、理学部同窓会幹事会、定時総会の順で進められました。
幹事会は鈴木征(昭43化)氏を議長に選出し、常任幹事の選任、総会提出議案及び決算・予算の審議を行い、これらを承認致しました。
総会は服部充雄(昭42化)同窓会長の議長で議事が進められ、会長挨拶ののち、2014年度事業報告及び2015年度事業計画、2014年度決算報告及び監査報告、2015年度予算案、その他、の議案を審議致しました。
事業報告・事業計画は服部同窓会長より事業概要、活動組織、委員会活動概要説明があり、具体例として就職支援委員会の佐野義規(昭47数)委員長より活動及び計画報告がありました。また四方のぞみ(昭54化)会計幹事より決算・予算説明、小野潤彌(昭34化)監事より監査報告が行われました。総会ではこれらの議案をすべて満場一致で承認致しました。
講演会
●引き続き、下記2件の記念講演が行われました。
講演1.
■講演テーマ:「細胞はどのようにして分裂するのか:セミインタクト研究系の開発」
■講 師 :学習院大学理学部生命化学科 馬渕 一誠 教授
講演要旨(予稿より):細胞分裂は生物の増殖・成長にとって必須である。動物細胞が分裂する際には分裂位置に『収縮環』と呼ばれるタンパク質構造が形成される。この構造は主にアクチン繊維とミオシンから成り、これらの相互作用によって収縮する。分裂位置がどのように決定され、そこに収縮環がどのような経路で形成され、そしてどのようにして収縮するかという問題は、現在のこの分野の中心的研究課題である。これらの問題を解決するため私達は最近、分裂酵母から「収縮できる収縮環」を含む細胞ゴーストを単離し、初めてin vitroで収縮環の収縮を研究できる系を構築した。また一方、細胞膜を模した人工脂質膜の中に細胞から調製した細胞質を封入し、その中でのアクチンの動態とこの「人工細胞」に起こる運動を追跡している。最終的にはこのような「人工細胞」が生きた細胞と同じように分裂することを実現したい。
講師略歴 :東京大学理学部生物化学科卒業。
同大学院修了(理学博士)。
ペンシルバニア大学・スタンフォード大学研究員、
東京大学大学院総合文化研究科教授
(岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所教授併任)などを経て、
2007年より本学理学部教授。
講演2.
■講演テーマ:「バイオベンチャー起業の面白さ、難しさ –サイエンスと社会を結ぶ仕事–」
■講 師 :シンバイオ製薬株式会社 代表取締役&CEO 吉田 文紀 氏 (1971化学科卒
講演要旨(予稿より):今年の4月、日本版NIHといわれる「日本医療研究開発機構」が設立され国を挙げて医療のイノベーションに取り組むことになった。
1953年にワトソンとクリックによるDNAの二重らせん構造の発見、2003年のヒトゲノムの完全解読などのサイエンスの研究成果が疾患解明につながり多くの新薬が開発された。しかし新薬の開発の成功確率は研究所発で2万分の一といわるように極めて小さい。まだどうなるか分からない研究成果をもとに新薬の開発を担うバイオベンチャーはハイリスク・ハイリターンの事業といわれる。小さな可能性をいかに現実のものにできるか、イノベーションの担い手としてのバイオベンチャーの役割についてお話をしたい。
講師略歴 : 1971年学習院大学理学部化学科卒業。
1973年6月マセチューゼッツ工科大学大学院修士課程終了
1975年6月ハーバード大学大学院修士課程修了
1975年9月三菱商事㈱入社
1977年4月エイ・エッチ・エス・ジャパン株式会社入社 理化学機器部・営業部長
1980年1月日本バイオラッドラボラトリーズ株式会社創業 代表取締役社長
1991年7月日本シンテックス株式会社入社 代表取締役社長
1993年5月アムジェン株式会社創業 代表取締役社長、AMGEN米国本社副社長
2005年3月シンバイオ製薬株式会社創業 代表取締役社長兼CEO
懇親会
● 引き続き、会場をホテル メッツ内 「フィオレンティーナ」に移し、懇親会が行なわれました。
総会、講演会、懇親会には、井上大学長、東園桜友会長、各学校学部同窓会長、理学部恩師 など多くの来賓のご出席を頂き、ご挨拶ご祝辞を頂戴致し、楽しい歓談のひと時を過ごしました。