第59回技術交流会のご報告

開催日時:1月22日(土)14:45~17:15

開催場所:南7号館101教室

講演1: 量子力学の原理を利用して安全な通信を実現する14:45~15:55(質疑応答10分を含む)

講師:理学部物理学科 平野 琢也 教授

講演要旨(予稿より)::古典力学では、ある時刻における物体の位置と速度を知ることにより、その後の時刻における位置と速度を正確に予測することができました。一方、量子力学では、物体の位置と速度を両方同時に正確に定めることができません。また、物体の状態を測定して情報を得ると、測定した物体の状態は変化してしまいます。このような、古典論とは大きく異なる量子力学の原理を直接利用する情報処理に関する研究が、現在世界中で活発に研究されています。その一つの研究テーマに量子暗号があります。量子暗号は、量子力学の原理を利用することにより、第3者に情報が漏れない安全な通信を実現するものです。講演では、量子暗号の原理を、デモ実験を交えて分かりやすくご紹介したいと思います。また、私達の研究している新しい原理の量子暗号についてもご説明する予定です。

講師紹介:1964年8月兵庫県で生まれる。1983年3月広島大学附属福山高校卒業、1987年3月東京大学理学部物理学科卒業、1989年3月東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修士課程修了、1992年3月同上博士課程修了、博士(理学)。1991年4月〜1993年2月日本学術振興会特別研究員、1993年2月~1998年3月東京大学教養学部物理学教室助手。1998年4月~2005年3月学習院大学助教授(物理学科)、2005年4月〜現在 学習院大学理学部教授(物理学科)。2007年9月~2009年8月文部科学省学術調査官(科学研究費担当)、2006年4月~現在 情報通信研究機構外部評価委員会委員。

                

講演2: 圧力のものさし「真空標準」16:05~17:15(質疑応答10分を含む)

講師:産業技術総合研究所 秋道 斉 氏

講演要旨(予稿より):計測は、製品の開発設計と品質の試験・認証に必要な技術です。計測の結果が、国内のみならず世界中で信頼を持って通用するためには、その基準となる「ものさし」が不可欠であり、その信頼性を確立して、維持することが必要となります。産総研では様々な量に対する国家標準を整備して供給サービスを行なっています。圧力真空標準研究室では、半導体やフラットパネルディスプレイなどに代表される先端産業には欠かせない「ものさし」となる圧力真空標準を整備し、産業界からの強い要請に応える事を目標として超高圧力から極高真空までの計測技術の開発、効率化および高精度化をめざして研究開発を進めています。 ここでは、圧力真空標準を中心とした、計測の「ものさし」のお話をさせていただきます。

講師紹介:1987年 学習院大学自然科学研究科物理学専攻博士後期過程 満期終了。同 学習院大学理学部助手。1989年 理学博士。同 ㈱アルバック・コーポレートセンター 入社。同 新技術事業団「榊量子波プロジェクト」出向。1992年 ㈱アルバック・コーポレートセンター真空基礎研究室。1999年 日本真空技術㈱技術開発部。2000年 通商産業省 工業技術院 電子技術総合研究所 極限技術部 入所。2001年 独立行政法人 産業技術総合研究所 計測標準研究部門 力学計測科。2005年 同 計測標準研究部門 力学計測科 圧力真空標準研究室 室長。