平成29年4月度の二木会を次の通り開催しましたのでご報告致します。
1.日時 平成29年4月13日(木) 18時30分~20時30分
2.テーマ 「 総合商社の源流 鈴木商店とは」
3.講師 高畑新一氏 (平成5年経済学科卒 日商岩井、太陽鉱工等、鈴木商店関連企業に勤務し、
現在は鈴木商店のハッカ事業継承会社・鈴木薄荷株式会社 常務取締役
その間に、神戸大学大学院・経営学研究科・現代経営学専攻MBAプログラム終了。
曾祖父・高畑誠一氏は鈴木商店ロンドン支店長を経て、日商(後の日商岩井、現・双日)の創業者)
4.出席者 29名
[講話の要旨]
今回は、(1)神戸の洋糖商からスタートした鈴木商店が、事業多角化、重化学工業へと進出して他財閥を圧倒する「日本一の総合商社」へ登りつめて行った概略、(2)その躍進を加速させた第一次世界大戦景気への対処方法とその後の事業承継、(3)そして、あまり一般には知られていない鈴木商店と川崎造船所との関係を、川崎造船社長の松方幸次郎が高畑誠一とロンドンで共に過ごした時期に焦点を当てて、ストックボートや松方コレクションについて、お話をいただきました。
(1)明治7年に鈴木岩次郎が「カネ辰鈴木商店」として砂糖商を創業し、約40年で巨大企業へと成長している。明治27年に岩次郎急逝後、夫人の鈴木よねは廃業せずに金子直吉を番頭として経営を続け、女性主人・番頭経営のスタイルで総合商社の源流となる企業形態を築いて行く。明治32年台湾樟脳油の販売権取得、同36年大里製糖所の設立、同38年小林製鋼所(神戸製鋼所の前身)の買収、同44年大里製粉所と躍進を続けた。第一次大戦後の大正4年からは事業多角化を加速し、造船、染料、電力、倉庫、鉄道、精油・油脂、冶金、石油、マッチ、汽船、紡績・人絹、火災保険事業を次々と買収していった。
(2)第一次世界大戦の大正4年当時、鈴木商店のロンドン支店長に着任していたのが高畑誠一であった。彼は戦争特需の機会を得て、大英帝国と連合国を相手に鋼材、銑鉄、船舶、食料品などを貨物船ごと売り渡す「一船売り」、「12隻のまとめ売り」、「手付金の要求」などを敢行した。その貢献度は、イギリスの海軍大臣チャーチルをして、「カイゼル(ドイツ皇帝)を商人にしたような男」と言わしめた。しかし、大戦後不況の煽りを受け、更に、関東大震災と昭和恐慌が続き、鈴木商店は業績不振に陥った。株式非公開、融資を台湾銀行のみに頼るというぜい弱な財務体質であり、台湾銀行から融資を打切られ、昭和2年にあえなく事業停止となった。事業停止後、金子氏の薫陶を受けた鈴木商店社員やグループ企業から政財界に多くの人材を輩出している。例えば、帝人・大屋氏、日商・永井氏、播磨造船・北村氏、大正生命・金光氏等々。また、鈴木商店の破綻後、直営工場を有する樟脳、薄荷、油脂事業のほかに、16事業から52社に(双日をはじめ現在の社名で)事業承継されている。
(3)川崎造船所社長の松方幸次郎は、第一次世界大戦により景気が上昇し始めた大正5年に渡英している。松方の在英中(2年8か月)、金子の意を受けた高畑は松方のために鈴木商店ロンドン支店を事務所代わりに使用できるよう便宜を図っている。そして、ストックボート(注文が確定せずに造った汎用船)で巨利を得て、追い風を受けた松方は欧州美術品の収集を始める。欧州各国では明治維新前に美術館建立が盛んであり、日本にも西洋美術館をと収集した1万点以上の美術品が松方コレクションである。第一次世界大戦後のコレクションは波乱の経緯をたどっている。ロンドンでは953点が焼失し、日本へ移送され散逸を免れた約8,200点(主に浮世絵)は「東京国立博物館」に所蔵されている。また、第2次大戦でフランスに没収された約400点は、学習院卒業生である吉田茂首相によりサンフランシスコ講和条約で交渉され、日本に返還されて上野の「国立西洋美術館」(
(文 新道正雄)
講演会の模様
藤森大先輩から講師の高畑氏(左)へ記念品の贈呈
当日は、90歳の現役耳鼻咽喉科医で医学博士の藤森春樹氏(昭和22年高男旧卒 藤森耳鼻咽喉科院長)に、 「 鼻アレルギー」についての講演も拝聴させていただきました。
[講話の要旨]
人口の20~30%はアレルギー素因をもっている。発病頻度は、気管支喘息が全人口の1~2%、鼻アレルギーは5~10%と言われている。食生活や住居環境の変化、大気汚染やストレスも原因となる。
鼻アレルギーとは
1. 鼻炎の種類 急性鼻炎・慢性鼻炎・肥厚性鼻炎・萎縮性鼻炎・アレルギー性鼻炎・血管運動性鼻炎
2.特有な症状とタイプ 発作的に起こるくしゃみ・鼻水・鼻づまり・時には涙目・眼のかゆみ・のどのいたみ
3. 鼻アレルギー 2つのタイプ ①通年性アレルギー・・・ハウスダスト ②季節性アレルギー・・・花粉症
代表的なアレルゲン
ハウスダスト:60%、花粉類:30%、かび類とその他:10%
治療法
1.抗原の除去・回避
イ)ハウスダストの場合
ダニの除去・室内の環境作り・生活上の注意
ロ)花粉症の場合
花粉の多い場所に立ち入らない・花粉を室内に入れない・シーズンには外出時に必ずマスクや眼鏡を着用する・
外出後はうがい、洗顔を必ず行う
2.鍛錬療法
ストレスに耐えられるように心身を鍛える冷水摩擦、乾布摩擦、薄着の励行、水泳
3.薬による対症療法
抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤・副腎皮質ステロイド剤・鼻内噴霧用薬
4.免疫を作る減感作療法
イ)皮下免疫療法
ロ)舌下免疫療法
5.手術療法
鼻づまりをとる手術療法
(文 木口久喜)
講演中の藤森ドクター
編集後記
今回、4月1日付けで東京から転勤してこられた政府系金融機関勤務の方が、「関西桜友会のホームページで、クラブの先輩が講演をされると知り初参加した。」と話されました。
一人でも多くの方に会に参加いただけるようにとの思いで、ホームページによる広報活動に努めています。この言葉をお聞きし、編集者として大変嬉しい気持ちが致しました。