平成28年12月度の二木会を次の通り開催しましたのでご報告致します。
1.日時 平成28年12月8日(木) 18時30分~20時40分
2.テーマ 「車社会の文化ー日本と外国」
3.講師 阿波田 時彦 氏(東京より)
(昭和38年経済卒 早稲田大学大学院経済研究科修士課程修了、学習院大学経済学部助手、出版社を経て、現在、フリーのライター ペンネーム:宇田川 一彦 氏)
4.出席者 21名
講話の要旨
<ご講演頂きました阿波田氏は、昨年12月の「世界の美術館めぐり」に引き続き2回目となります。幅広い分野で博識なフリーライターで、今回は日本及び外国の「車文化」についてお話し頂きました。>
まずは、【車は動く文化財です】。だから、「いい車に永く乗って、車社会を楽しむ」ことが、「車文化」を育てることになると思います。「文化財となりうるいい車」というのは、2~4人(車というものは、5人以上乗るものではありません)。
いい車の条件は、1)クーペ型またはセダン型・4ドアのクーペもあり、(4人乗りであれば可)、2)(見た目の)デザインよし、3)乗ってドライビングセフティー充実、高速持続運転(道路が許せば、時速200㎞~)で500マイル(約800㎞)を1日で車旅しても耐える車、4)長年(飽きないデザイン・エンジン機関の長持ち)乗れることなどが条件です。燃費は関係ありません。今の車(特にいい車の外国産と日本車の極一部)は、そこそこすべて燃費がいいですから・・・。燃費リッターあたり数キロいいからと、HV(ハイブリット)やPHV(プラグインハイブリッドは日本では100V壁で普及せず)は、あまり「いい車」の代名詞とはならないと思います。積んだ重いバッテリーがダメになり、道路税や重量税が高くなり・・。日本車のほとんどの車は、エコカー(HV含む)、ワンボックス、ミニカー(軽自動車)だけの売れる車だけを生産する車世界になっています。
そこで、世界の主な自動車メーカー・グループは、独でVWとDaimlerとBMW社の3グループ、仏ルノー社グループ、米伊のFCA(ファイアット・クライスラー自動車)グループ、日本のトヨタ社グループ、韓国のHyundai-G、アメリカ・GM社グループ、インドのTata社 グループ(Land Rover社・Jaguar社を傘下)、中国のGeely吉利社グループ(Volvo社を傘下)、マレーシアのPROTON社グループ(Lotus社を傘下)、あと単独社として日本のホンダ社、光岡自動車(エンジンは、ルノー・日産)、マツダ社、英国のAston Martin Lagonda社などがあります。中でも注目は独の3グループ、FCAと英国のメーカーです。
「いい車」を永く乗る(車文化を発展)には、その「環境」整備の問題もあります。
ハードの面でいえば、まず『道路』です。日本の高速道路の異常な高額なこと。これは欧米諸国のようにfreewayにすべきです。(ドイツのアウトバーンは乗用車タダ。仏の高速道路も安いです。キロ当たりの料金で言えば約6分の1の感じ。米はFREE 、(ただ一部の高速では料金がかかりますが安い)です。中国・韓国も安いです。どこの国も移動手段としては、車が一番安いが、日本は一番高いです。
ついでに、諸外国の一般・高速道路とも、照明がありません日本と比べると暗く感じます。韓国や中国の高速道は、いざとなれば滑走路に変身し、照明代がかかりません。翻って、日本の高速道の照明器具をすべてLEDにするには莫大な費用が・・。日本の高速道は災害緊急用でも不都合を生じます。
日本の一般道では、まず多い、高さもまちまちな標識を整理することが急務です。来るべき(小生は来ない方に与しますが)完全自動運転車(誰が乗りたいと思うのか疑問)の時代にも、この標識の高さ大きさの統一は、必須です。じゃないと車載のカメラなどセンサーが認知できませんから。もう仏独の国では高速道では速度標識等の統一を取っています。
ソフト面で「いい車」保有の最大のネックは、車維持管理費用の掛かりすぎがあります。自動車税、高い。強制保険、任意保険、ガソリンを入れると揮発油税、地方揮発油税(消費税付き・二重課税)など、車にかかる税金は8税、消費税と地方消費税で10税、間接的に石油石炭税、関税、各種贈与税、固定資産税と14税あります。
最後に、いい車に長く乗るために、ドイツ、現在はイギリス、スイスも取り入れているHistoric Number(Hナンバー)制(製造から30年以上経った車の道路税を免除する制度)を日本も取り入れるべきです。ドイツなどは、シーズンナンバーで、保険料・道路税等も安くするシステムです。というと、日本にも、いや東京都にはHナンバー制があったのです。すなわち1945年以前の車の取得税と自動車税を減免する、というのですが・・???。
(文:阿波田時彦氏)