受け継がれる伝統と新たな交流 〜令和7年度 文学部同窓会 総会・講演会・懇親茶話会報告


令和7年度 学習院桜友会 文学部同窓会 総会・講演会・懇親茶話会 報告

2025年6月1日、学習院桜友会 文学部同窓会 総会・講演会・懇親茶話会が、学習院創立百周年記念会館正堂にて開催されました。ご参加いただいた皆様に改めて御礼申し上げます。

総会

2025年6月、学習院桜友会文学部同窓会による定例総会が開催されました。当日は多数の卒業生が出席し、文学部の伝統と今後の展望を共有するひとときとなりました。
冒頭、文学部同窓会会長・前田和世氏(昭和47年 哲学科卒)より開会の挨拶があり、文学部同窓会が設立から17年を迎え、学科横断的なつながりを基盤に活動を重ねてきた歩みを話されました。
続いて、以下の議案について審議・報告が行われました。

第1号議案:役員人事
令和7年度の役員体制が承認されました。
会 長  前田 和世(昭47哲)
副会長  馬場 香織(昭51史)服部 準子(昭51英)大場 秀浩(平2仏)藤澤 紫(平2哲)
監 事  菊池 誠一 (昭54史)林 東洋(平11哲)
会 計  鈴木 典子(昭61史)保坂 祐子(平3史)
事務局  宮島 衣瑛(令2教)

第2号議案:令和6年度 活動報告・会計報告・監査報告
活動報告、会計報告、監査報告がそれぞれ行われ、すべて承認されました。

第3号議案:令和7年度 事業計画・予算案
来年度に向けた継続的な同窓会活動と、対面・オンラインを組み合わせた交流企画の充実が提案され、予算案とともに可決されました。

講演会

今年の講師は、昭和51年に本学フランス語フランス文学科を卒業された堀越希実子氏。12代目市川團十郎夫人であり、13代目市川團十郎白猿氏の母として、梨園を支えてこられたご経験を語ってくださいました。

梨園の妻として生きる

講演では、学習院時代に国劇研究会で舞台を経験されたこと、そして偶然の出会いから市川家に嫁がれ、伝統芸能を家族として支えてきた日々が丁寧に語られました。梨園におけるしきたり、舞台裏での役割、日常生活での気配りなど、普段はなかなか知ることのできない世界の一端が、温かみのある言葉で紹介されました。

ご主人である12代目團十郎氏については「怒った姿を見たことがない」と語られ、多くの方に慕われたその人柄が、舞台上だけでなく日常生活においても尊敬を集めていたことが印象的でした。

創作への情熱──着物ブランド「華寿苑」

後半では、堀越氏が立ち上げた着物ブランド「華寿苑(かじゅえん)」について紹介があり、実際に制作された振袖や打掛のスライドを用いたプレゼンテーションが行われました。牡丹、波、雲などの伝統的モチーフを現代的に再構成した作品群は、晴れの日を彩るにふさわしい華やかさと、繊細な美意識に満ちています。

作品の多くには、ご依頼主との対話を通じて誕生した物語が込められており、「着物とは人生の節目に寄り添う、記憶を織り込むもの」と堀越氏は語りました。

着物文化を未来へ

講演の最後には「着物は、日本の文化を象徴する存在。もっと気軽に、人生の大切な節目に取り入れてほしい」との呼びかけがありました。男性の着物姿の魅力についても言及があり、和装文化全体への理解と関心を深めるひとときとなりました。
堀越氏の誠実なお人柄と、日本文化への深い愛情が滲む講演は、参加者に多くの示唆と感動を与えるものでした。伝統を受け継ぎ、次世代へと橋渡ししていくその営みに、今後ますます注目が集まることでしょう。
ご登壇いただいた堀越希実子様に心より御礼申し上げます。

懇親茶話会

講演会終了後には、来場者同士の交流を深めるための懇親茶話会が催されました。会場には軽食が用意され、久方ぶりに再会した卒業生同士が学科や年代を超えて歓談の輪を広げる、和やかなひとときとなりました。

冒頭には、耀英一学習院長および 諸戸清郎 桜友会長より、温かいご挨拶を頂戴しました。学習院の教育・文化的な継承における同窓会活動の意義と、卒業生同士の結びつきへの期待が語られ、参加者一同、学び舎への思いを新たにする時間となりました。

また、講演を終えられたも茶話会にご参加くださり、来場者一人ひとりに丁寧にお声をかけてくださいました。舞台や着物の話題はもちろん、在学中の思い出や現在の活動に至るまで、世代を超えた会話が弾み、会場は笑顔に包まれていました。

懇親茶話会は、単なる社交の場を超えて、学習院という共通の原点から始まる学びと友情の再発見の場となりました。今後もこのような場を通じて、多様なつながりが育まれていくことが期待されます。ご参加くださった皆様に心より御礼申し上げます。